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丸井今井の破綻は伊勢丹流MDの失敗か?

丸井今井

昨秋からの不況が深刻化する中、1月29日、北海道の老舗百貨店、丸井今井が民事再生法を申請した。負債総額は502億円。97年の北海道拓殖銀行の破綻によって北海道地区は不況に陥った。丸井今井もその当時から経営が悪化し、伊勢丹からの支援を受けて経営を再建しようとしていた。

帝国データバンクによると、その後も北海道地区の景気は上向かず消費が伸びなかったため今回の民事再生法の申請に至ったというが、単なる北海道地区の不景気だけが理由ではないようだ。

東洋経済オンラインによると丸井今井の低迷は「伊勢丹流のMDが地方都市では通用しなかった」ことを原因に挙げる。伊勢丹の支援によって、丸井今井には伊勢丹新宿店と比べても遜色のない「ルイジ・ボレッリ」「ボルサリーノ」などの高級ブランドが続々と導入されたという。

05年からの見せかけだけの景気拡大の恩恵を受けたのは首都圏だけであり、地方はその恩恵を受けていなかったのが実情である。北海道は拓殖銀行の倒産以来、一度として景気が上向いたことがなかった。そういう地域に東京流のMDで高級ブランドをかき集めたため、地元の消費動向にはマッチしなかったのである。

さらに東洋経済オンラインは、札幌に進出し好調に業績を伸ばしている大丸の政策を引き合いに出す。大丸札幌店は、神戸店よりも菓子の価格を抑えたり弁当の盛り付け量を多めにするという細やかな対応で札幌店の売り上げを伸ばしたという。

東京市場しか見えていない伊勢丹と、地元の景気や消費動向に目を向けた大丸との違いが浮き彫りになっている。

今回の丸井今井だけでなく、地方百貨店はかなり苦しい立場に置かれている。こうしたことは、地方だけではなく、昨秋からの不況によって大都市部の富裕層も所得が減っているという。バブル崩壊以後、何とか乗り切ってきた都市部の百貨店も今後はさらなる苦境に陥るだろう。