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「グリーンウオッシュ」を知っていますか?
エコロジー宣伝へのきびしい目はやがて繊維業界にも

トヨタはベルギーで 誤解を与える グリーン ( ウオッシュ )

欧州トヨタが「プリウス」のエコ宣伝表現を修正したとの報道。
「トヨタはベルギーで “ 誤解を与える ” グリーン ( ウオッシュ ) 宣伝を取りやめた」との見出しだ。
autobloggreen WEB)

「グリーンウオッシュ」といっても、ジーンズの新しい加工方法でも、はたまた家庭洗剤のブランドというわけでもない。英語で「いかにも充分に環境対策を行ったかのように、ごまかしのグリーンイメージの色塗りを行う」、つまりエコロジー商品を実態以上に過度に表現する」といった意味だ。日本人は「環境に優しい」だの「氷の解ける環境からシロクマを守ろう」とかの抽象的な表現で満足する傾向があるが、理知的な欧州人はすべて理詰め、数値化しなければ納得しないということか。写真の記事では「CO2排出量ゼロの低さ」という表現が槍玉に挙がった。車種プリウスのハイブリッド性能が世界のトップレベルの排出低減であることは認めつつ、実際のデータや法的規制値との関係を明示していないあいまいさが消費者を惑わすというきびしい批判だ。トヨタは08年末にも高級車レクサスのハイブリッド車が、「環境を考えればレクサス」という表現がイギリスで非難された。(朝日新聞)「ほんとに環境を考えるなら大型セダンには乗らない」という論拠のようだ。トヨタに限らずその他の、日本、韓国、欧州の車種の宣伝も軒並み非難されている。

欧米ではエコを含み宣伝表現の適切さを維持する目的の業界団体の活動が活発だ。各政府も法制化などのバックアップ体制で支援している。日本ではJARO(広告機構)が有名だが、エコ表現の課題への取り組みはまだ行っていないようだ。

さて振り返えれば、我国の繊維素材やアパレル企業のエコ表現にも多くの課題があるようだ。青い地球をイラストにして、「わが社は地球環境を考えます」などというイメージ広告だけではもはや次の時代は乗り切れないのではないか。CSR報告、環境報告などを株主や一般に公開している企業も増えているが、エコの数値目標やその達成度にまで肉薄している企業は少ない。これは世界水準から見ても遅れているといえる。またリサイクルの実践にもその表現と、実際の行動との間に「グリーンウオッシュ」の要素がないかを点検する必要がある。例えば「生分解」するので「土に返る繊維素材です」という表現であっても、どこで誰が土に戻しているかの質問に答えられなければならなくなるだろう。「それは(埋め立てなど)行政の仕事です。」などと責任転嫁の言動では信用を失うことになりかねない。「生分解」されるべき衣服が「燃えるゴミ」になってないる可能性も大きいのだ。一部日本の合繊メーカーが操業しているように自社にリサイクル(溶融)工場を作り「完全循環」を完結させるとかの、より具体的な実践が求められる。自社のイメージアップだけの宣伝表現から抜け出し、業界や行政さらには衣料小売なども巻き込んだ大きなエコの仕組み作りが繊維業界にも急がれる。