銀座とH&Mの組み合わせ
H&M(ヘネス・アンド・モーリッツ、本社スエーデン、換算年商約1.4兆円)が08年に日本初出店を果たすと発表した。現在世界24ヶ国に1,300店以上展開の規模を持ち、非常に安い価格と、俗に「ファスト・ファッション」といわれる流行サイクルの非常に短いアパレル商品を売ることで人気を得ている。
ユニクロのようにほぼシーズンを通してSKU在庫を維持するのではなく、しまむらやハニーズのような高回転型の商品展開が特色だ。迎え撃つ既存カジュアル系小売の反応には、冷静なものが多い。
H&Mの展開する商品の品質のレベルの低さには対抗できると言う。感性に優れた日本人の消費感覚では一見ペラペラの安易な素材、手抜きの縫製仕様では日本では成功しないと自信を持つ。しかし衣服をワンシーズンで「着捨てる」のだから、耐久性は不要だとする若者やギャルの消費者も増加しており、従来の経営者の常識との格差も目立つこととなりそうだ。
さてそのH&Mが選んだ立地は原宿と銀座。特に銀座はいわば日本の「五番街」、リッチな雰囲気と地方への波及効果も大きいので旗艦店の立地選定したようだ。すでにユニクロが銀座進出を果たしそれなりの成果を得ているだけに、このH&Mの銀座進出が注目される。ルイ・ヴィトンやカルチエなどに代表される「ラグジュアリー」の路線ではない銀座の方向だが、実は銀座の商店組合の思惑も絡む。年配客とアジア人の目立つ今の銀座に、昔のように若い客層も呼び戻したいという切実な願いもあるようだ。「♪憧れのギンザ」に海外アパレル小売が増えそうだ。